灘校の教頭先生の講演会を聴講して

中受に向けて

 先日、浜学園で「学びに向かう力を育む灘校の教育」と題して、灘校の教頭先生による講演会が開催されましたので、聴講しに行きました。正直な感想から先に述べますと、灘校の先生方の生徒に対する教育方針や考えはもちろん、実際にどのような授業をしているのか、クラブ活動や学校行事について、入学後の成績についてなどとても詳細に聞くことができたので大変有意義でした。今回は対象が低学年以下のお子さんを持つ保護者の方だったので、幼少期や低学年の時期の親の関わりについても冒頭にお話しがあり、そのお話も大変ためになりました。

資料として「ようこそ灘校へ(2022年版)」という冊子をいただいたのですが、こちらの資料だけでもかなり灘校のことが詳細にわかるようになっています。

 ですので、もし今回のような講演会が再度実施され尚且つ灘校に興味関心を少しでも持っていらっしゃったら、参加されることをオススメします。灘校は入試説明会に参加できるのが小学校6年生だけですので、最高学年以外でも参加できる数少ない灘校について知るチャンスの1つだったと思います。

灘校の教育の特徴

 今回、講演会で知り得た情報を元に、灘校の教育の特徴について羅列していきます。なお、教育方針や特色については灘校のホームページに明示されています「精力善用」「自他共栄」の精神を持つ、つまり自己の持てる力を効率よく発揮し、自他共に高め合えるような人間を育てることを目標とされています。

担任持ち上がり制による一貫教育である。

学習進度が早い

・学生が自分で考え判断できるように自主性を重んじている

・自由な校風、生徒の自主性を重んじているが、完全放置というわけではなく、先生が必要だと判断すれば、夏休みに補講など実施し適宜フォローしている。

先生に学校生活のことを相談しやすい雰囲気がある

・クラブ活動や学校行事などは、適宜先生と相談もしながら生徒が主体となって運営している。とても楽しそう。

生徒同士が互いに互いをリスペクトしており、勉強を教え合っている

・「大学受験のために塾に通う必要はない。」とはっきりおっしゃっていました。

・「土曜講座」があり、各方面で活躍する専門家によるレクチャーがある。(大人でも、聞きたい!と思うような内容でした。)

高1の時に英国へ海外研修する機会がある。

柔道の授業が中1〜高1まで週1回ペースである。

担任持ち上がり制による6年間の一貫教育

 各教科の先生が7〜8人で担任団を作り、中学入学から高校卒業まで一貫して受け持ちをされます。それにより、生徒一人一人の性格や個性を熟知でき、きめ細かい指導が可能であるとともに、先生の間で連絡を密に取り合い情報を共有しておられます。また、学校生活における悩みについても7〜8人いる先生の中で一番相談しやすい先生に相談することが可能であるため、生徒が相談しやすい環境が整っているようです。また、この制度により中2の時点で高校の課程に入るという学習進度の速さが実現されているようです。

生徒が主体の学校

 多くの方がご存知だと思いますが、灘校は自由な校風で生徒の自主性を重んじる学校です。学校行事やクラブ活動も先生が引率するのではなく、生徒が主体となって創り上げていきます。今年、私と子も毎年5月2・3日に開催される文化祭に行ってきましたが、楽しかったですし、展示物や催事の質はとても高かったと思います。文化祭に対する学生さんの熱意や協働して創り上げている感じがとても伝わってきました。「こんな学校に行きたい。」って小学生男子ならほとんどの子がそう思うだろうなと思う程素晴らしいものでした。体育祭や野外活動等も生徒が主体となって考えていくそうです。何か大きな企画を生徒主体で責任を持って、立案・実行する経験ができるのはとても良いですね。

 先生も、完全に生徒に任せっぱなしというわけではなく、話し合いに参加されますし、勉学に関しても必要であると判断した場合は指名制で夏休みの最初に補講が行われるようです。生徒がいつでも相談できるような雰囲気を作っていますとおっしゃっていました。

生徒同士で勉強を教え合う風土

 講演会にて、先生が生徒に対して行ったアンケート結果の統計を見せて頂きました。それによると、勉強でわからない事があった時誰に聞くか?」という質問に対して半数以上(すみません。数値はうろ覚えです)が「学生に聞く」と回答していました。想像に難くないですが、皆さん優秀ですので互いが互いに「すごいな!!」と尊敬し信頼し合えるのでしょうね。〇〇オリンピックで入賞するような生徒さんが複数いらっしゃると思うので、どういう風に勉強してるのかなどの意見交換が生徒同士で活発に行われているのではないかと拝察しています。クラブ活動も活発で高校2年の時点でも90%近い(頂いた資料参照)学生が入部していて、その部活の先輩・後輩の中でも有意義な意見交換が行われているようです。また、先生も授業に工夫を凝らしておられますし、適宜必要があると判断すればフォローされているので、「通塾は不要です。」と断言されていました。

土曜講座

 灘校では土曜日に、大学教授や大手企業のトップなど各界の専門家を招致して講座が開催されています。タイトルと講師の一覧を見ましたが、大人でも「聞いてみたい!!」と思うような内容でした。公式で公にされていませんので、念の為具体的なタイトル等はここに記載することはできませんが、大学で知るような内容や社会に出てから知るような内容をその道の専門家が講義してくれると言った感じです。中高生の間からこんなレクチャーを学校で受けられるなんて、正直羨ましいです。

感想

 講演会を聞いて、多くの子ども達が灘に行きたいと思う気持ちと理由がよくわかりました。一番の特色は生徒同士のつながりが強く、互いに互いを高め合う雰囲気があるところだと思いました。過酷な受験を乗り越えて入学した生徒さん達ですから、優秀で知的好奇心が旺盛な方がほとんどだと思いますので、生徒同士で尊重し信頼し合えるというのは納得です。卒業生の方からは「いじめ」はなかったと聞いています。

「中学入試とその後の成績」というタイトルで在校生の方の成績の推移のグラフも見せていただきましたが、入試時点で下位30人に入っていたとしても、その後の成績は入試の結果とは全く関係がなく、ばらつきがあり、入学後の努力が肝心である事が示されていました。

 入学後求められる又は育まれるのは、自分で判断し主体的に動く事と他者と良い関係を築く事、そして旺盛な知的好奇心なのだろうなと感じました。

 自分で主体的に考え、計画を立て、判断し、時には学生同士で協力し合って目標を実現できるのなら、それが一番ですね。個人的には、「生徒同士が互いに尊敬し合えて、同級生はもちろん先輩後輩間でも協働する雰囲気がある」というのが一番心惹かれる特徴だと思いました

 逆に、他人から徹底管理されて「あれしなさい。これしなさい。」と指図を受ける方が良いと考える場合には、あまり合わない学校とも言えます。灘校在籍の方が実際にどれくらいの割合で塾に通っておられるのかは明らかにされていないため不明ですが、講演会の話を聞く限りにおいては、通塾されていない方は結構いらっしゃるんじゃないかなという印象を持ちました。

 以上、講演会を聞いての感想でした。

 余談ですが、灘に通っておられる学生さんの8割位(すみません。こちらもうろ覚えです)の方が通学に1時間以上かかるという統計結果を見せてもらいました。個人的には通学時間は1時間以内に抑えた方が良いと思っているのですが、灘の学生さんに関して言えば通学時間の長さはディスアドバンテージにはならないようですね。

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